
カナヘビの食性調査によれば、カナヘビはバッタを「食べる」と評価されていますが、これはあくまで平均的な評価です。
実際には個体差が大きく影響します。
特に興味深いのは、同じカナヘビでも取り巻く環境や状況によって食べるか食べないかが変わってくる点です。
バッタの種類による違いもある
すべてのバッタが同じではなく、種類によってカナヘビの反応が大きく異なります。
小型のショウリョウバッタは比較的食べられやすい傾向がありますが、大きすぎるバッタは口に入らないことがあります。
バッタを口にくわえたカナヘビが、すぐに吐き出したという飼育者の観察例もあります。
これは単に大きさの問題だけでなく、バッタの種類や味、あるいは体表の特性が影響している可能性があります。
ショウリョウバッタ系とイナゴやトノサマバッタでは、カナヘビの捕食行動に明確な違いがみられます。
イナゴやトノサマバッタはコオロギと同様に顔周りの骨格が発達しており、このことがカナヘビにとって「堅い」という印象を与えるのかもしれません。
カナヘビが育ってきた環境も影響する
カナヘビがバッタを食べるかどうかは、カナヘビが育ってきた環境も大きく影響を与えます。
草むらなどで捕まえたカナヘビであれば、そばで見かけるショウリョウバッタなどを餌として育ってきた可能性は高いと言えます。
そのようなカナヘビであれば、抵抗なくバッタを捕獲して食べるでしょう。
逆に長い間人間に飼育され、人工フードやミルワームなどの自然界とは違う餌を食べてきたカナヘビにとっては、バッタは餌として認識されない可能性もあります。
常に安定して栄養価が高く、美味しい餌を与えられているカナヘビが新しい餌に興味を示さないこともあるかもしれません。
バッタの動きとカナヘビの捕食行動
カナヘビは動く獲物に対して強い反応を示します。
そのため、動きの素早いバッタは、カナヘビの捕食本能を刺激する要素を持っています。
ただし、捕食を成功させるためには、カナヘビの体温も重要な要因となります。
カナヘビは変温動物であるため、体温が低いと動きが鈍くなり、素早いバッタを捕らえることができなくなります。
暖かい環境下ではより積極的に捕食活動を行う傾向があるため、バッタを餌として与える際は、カナヘビの体温管理も考慮する必要があります。
バッタの栄養価と餌としての評価
バッタを餌として与える場合には、単に食べるか、食べないかを検討するだけではなく、栄養面での特徴を理解することも重要です。
バッタは長細い体型をしており、コオロギなどと比較すると可食部が少ない傾向があります。
そのため、バッタだけを主食とする場合、必要な栄養素を摂取するためにはより多くの個体数が必要となります。
水分含有量も比較的少なく、水分補給が目的の場合はより水分の多い餌を検討すべきでしょう。
バッタの羽や足はキチン質で構成されており、カナヘビの体内では消化されないため栄養源とはなりません。
一方で、バッタの体内に含まれるタンパク質は良質であり、適切な数を与えることができれば十分な栄養源となります。
バッタの給餌における利点
バッタをカナヘビの餌として活用する最大の利点は、調達のしやすさです。
バッタは5月から10月という長い期間にわたって野外で見かけることができます。
カブトムシやセミと異なり、不完全変態昆虫であるバッタは、生まれた時から成虫と同じ姿形をしているため、サイズの異なる個体を容易に見つけることができるメリットもあります。
跳躍力や飛行能力はありますが、捕獲自体は比較的容易ですので、子どもでも十分に捕まえることができます。
また、バッタは草食性であるため、攻撃性が低く、カナヘビに対して危害を加える心配がありません。
バッタの保管と管理の容易さ
バッタの飼育管理も比較的容易です。
コオロギの飼育では、適切な餌の管理や湿度・温度の調整、清掃などが必要ですが、バッタは比較的シンプルに管理できます。
捕獲した草をそのまま与えることができ、水やりも霧吹きで対応できるため、手間がかかりません。
生命力も強く、日々の細かなチェックが不要である点も、忙しい飼育者にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
キリギリスとの見分け方と危険性
バッタに似た昆虫であるキリギリスは、絶対にカナヘビの餌として与えてはいけません。
キリギリスは強力な顎を持ち、噛まれると人間の指でも出血するほどの力があります。
飼育ケース内にキリギリスを入れると、バッタだけでなくカナヘビ自体も攻撃対象となる危険性があります。
キリギリスとバッタの見分け方として、最も明確な特徴は触覚の長さです。
キリギリスの触覚は体長と同等かそれ以上の長さがあるのに対し、バッタの触覚は比較的短いのが特徴です。
ショウリョウバッタとキリギリスは外見が大きく異なるため一度見た目の違いを覚えてしまえば区別は容易です。
季節による利用方法
バッタを餌として活用する際は、季節的な要因も考慮する必要があります。
春から秋にかけては野外でバッタを容易に捕獲できますが、冬季は入手が困難になります。
そのため、多くの飼育者は冬季に備えて、コオロギやミルワームなど、通年で入手可能な餌を併用する傾向があります。
バッタは常時給餌するメイン食材というよりは、シーズン中の栄養バランスを整えるための補助的な餌として活用するのが理想的です。
多様な餌を与えることで、カナヘビの栄養バランスを保ち、健康維持に役立てることができます。
バッタは単独での主食というよりも、多様な餌の一部として活用するのが最適と言えます。
個体差や種類による好みの違いはありますが、適切なサイズと種類のバッタを選べば、多くのカナヘビに受け入れられる餌となります。
栄養価の面では単体では十分とは言えませんが、調達のしやすさや管理の容易さという点では大きなメリットがあります。
カナヘビの健康を考慮した給餌計画の中で、バッタを効果的に活用することで、自然に近い食生活を再現し、カナヘビの健康維持に貢献することができるでしょう。
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