ミルワームがさなぎや成虫になるまでどのくらい?
ミルワームは幼虫の期間しか餌にできない?
ミルワームを成虫にしない方法はある?
ミルワームが成虫になってしまった時の処理方法は?逃しても大丈夫?
ミルワームを扱う時の注意点とは?
こんなミルワームに関する疑問についてご紹介いたします。
ミルワームとはなんの幼虫?
ミルワームとはゴミムシダマシ科に属する甲虫類の幼虫の総称です。
ゴミムシダマシ科の昆虫は、本来は乾燥した土地で地表に落ちた植物の種子や腐植質、動物の死体などを食べて生活していましたが、人間が食物を貯蔵するようになると屋内に生活圏を広げ、貯穀害虫となったと考えられています。
こうした屋内生活に適応した昆虫は人工的な飼育環境にも適応しやすく、容易に大量増殖ができるため、古くから実験動物や生餌飼料として飼育されてきました。
特にゴミムシダマシ科の中型種、大型種の幼虫は、生餌を必要とする小鳥、爬虫類、両生類などの餌として好ましい大きさであり、幼虫期間が長いため周年での供給が可能であることから重宝されています。
日本で最も流通量が多いのは、ヨーロッパ原産のチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫で、通称イエロー・ミールワームと呼ばれています。
ミルワームがさなぎや成虫になるまでどのくらい?
ミルワームがさなぎになるまでの期間は、温度管理によって変わります。
常温(25℃前後)で飼育した場合には、ミルワームは2週間から1ヶ月ほどでさなぎになります。
一方で15℃以下の低温で管理すれば、さなぎになるまでの期間を2ヶ月以上に延ばすことも可能です。
ミルワームがさなぎになる際は、動きが鈍くなり、体の色が白っぽくなります。
さなぎの期間は常温で約1週間ほどで、その後、さなぎから成虫が羽化します。
羽化したミルワームの成虫は飼育環境にもよりますが、2週間から1ヶ月ほどで産卵可能な成虫になります。
つまり、卵から幼虫、さなぎを経て再び産卵可能な成虫になるまでのミルワームのライフサイクルは、常温飼育の場合およそ2ヶ月ほどかかるということになります。
ミルワームは幼虫の期間しか餌にできない?
ミルワームを爬虫類や両生類の餌として利用できるのは、基本的に幼虫の時期に限られます。
幼虫は動きが活発で栄養価も高いため、爬虫類や両生類、鳥類などのペットにとって非常に魅力的な餌となります。
特にイモムシのような這いずり系の昆虫を好む動物にとっては、ミルワームの動きや形状が似ているため、嗜好性が高いのです。
一方でさなぎになってしまうと動かなくなるため、餌としての魅力は激減します。
また、成虫になると硬い外皮に覆われ、捕食動物が食べづらくなります。
加えて、成虫の中には不快な臭いを放つ種もいるため、餌としての利用価値はほとんどありません。
そのため、ペットの餌としてミルワームを購入する際は、必ず幼虫の状態のものを選ぶようにしましょう。
成虫や蛹になったミルワームは、産卵用や繁殖用として利用するのが一般的です。
ミルワームを成虫にしない方法はある?
ミルワームを成虫にさせずに幼虫の状態を長く保つには、温度管理が重要です。
ミルワームの成長速度は、飼育環境の温度に大きく左右されます。
25℃以上の高温下では、成長が早まり、2週間から1ヶ月ほどで蛹になってしまいます。
15℃以下の低温に保てば、成長を大幅に遅らせることができ、幼虫の状態を2ヶ月程度維持することも可能です。
ただし、0℃以下になると凍死してしまうため、注意が必要です。
また、長期間の低温管理はミルワームにとってストレスになることがあります。
飼育密度が高すぎたり、湿度が高いと、カビが生えてミルワームが死んでしまうこともあるので注意が必要となります。
そのため、1ヶ月に1度程度は常温に戻して、餌を与えるなどの管理が大切です。
このように、温度管理を工夫することでミルワームを長期間幼虫の状態で維持し、必要な時に餌として利用することができるのです。
ミルワームが成虫になってしまった時の処理方法は?逃しても大丈夫?
ミルワームが成虫になってしまった場合の処理方法は、以下のようなものが考えられます。
まず、成虫になったミルワームを餌として利用することは難しいため、別の容器に隔離することが大切です。
成虫は産卵するため、隔離しておけば次の世代のミルワームを得ることができます。
ただし、成虫のミルワームは飛ぶことができるため、容器から脱走しないように注意が必要です。
隔離する際は、フタの閉まる容器を用意し、中に産卵用の床材を入れておくとよいでしょう。
一方で、成虫のミルワームを飼育する予定がない場合は、冷凍処分を行うのが適切です。
数時間以上冷凍することで、ミルワームを殺処分できます。
その後、燃えるゴミとして処分するか、土に埋めるなどの方法で処理しましょう。
殺処分せずに成虫のミルワームを逃がすことはおすすめできません。
ゴミムシダマシ科の昆虫の中には、野外で爆発的に繁殖し、生態系に悪影響を及ぼす外来種も存在します。
また、住宅の中で繁殖されては困りますし、不快害虫として駆除の対象にもなりかねません。
よって成虫のミルワームを処分する際には、十分な配慮が必要だと言えます。
ミルワームを扱う時の注意点とは?
ミルワームは脱走する可能性があるため、飼育容器はしっかりと密閉することが大切です。
隙間があると、そこから外に出てしまうことがあります。
脱走したミルワームは、家の中で繁殖し、害虫となる恐れがあるため、十分な対策が必要不可欠です。
また、飼育容器を激しく揺らしたり、大きな音を立てたりすると、ミルワームが驚いて動き回り、ストレスを感じてしまいます。
さらに、高温多湿な環境では、ミルワームの死亡率が高くなる傾向にあります。
飼育容器内でカビが発生したり、湿気で餌が腐ったりするとミルワームの健康状態が悪化してしまいます。
適切な温湿度管理とこまめな清掃が欠かせません。
加えて、ミルワームの中には、餌として与える際に人に危害を加える可能性のある種もいます。
オオミルワームなどの大型種は、口器が発達しているため、手を噛まれるとかなりの痛みを伴います。
ペットに与える際は、ミルワームの頭を潰すなどの処理を施してから与えるようにしましょう。
以上のように、ミルワームを扱う際には、脱走防止、ストレス軽減、適切な飼育環境の維持、危害防止など様々な点に気を配る必要があります。
これらの注意点をしっかりと守ることで、ミルワームを安全に飼育し、ペットの餌として有効活用することができるのです。
ミルワームまとめ
- ミルワームはゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫の総称で、ペットの餌として広く利用されている。
- ミルワームの飼育では温度管理が重要で低温に保つことで幼虫期間を長く維持できる。
- 餌としての利用価値が高いのはミルワームの幼虫の時期に限られ、さなぎや成虫は嗜好性が低い。
- ミルワームを長期間幼虫の状態で維持するには、15℃以下の低温管理と定期的な常温への移行が必要。
- ミルワームの飼育では脱走防止、ストレス軽減、適切な温度・湿度管理、清掃などの注意が欠かせない。
- 大型のミルワームは口器が発達しているため、ペットに与える際は頭を潰すなどの処理が必要。
- 成虫になったミルワームは隔離して次世代を得るか、冷凍処分して適切に処理することが大切。