
ニホンヤモリのかわいらしい見た目から飼育を始める人も少なくありませんが、いざ餌のことを調べると途方に暮れてしまうケースが多いようです。
家にあるもので何とかならないかと考えるのは自然な発想ですが、残念ながらその考えはニホンヤモリには通用しません。
ニホンヤモリの食性と家の食材がダメな理由
ニホンヤモリは夜になると活動を始め、蛾やハエ、クモ、ワラジムシといった小さな虫を捕らえて食べる完全肉食性です。
野生では街灯の周りに集まる虫を待ち伏せして効率よく食べており、その食の専門性はかなり高いといえます。
パンやご飯、果物などを口にすることはあってもヤモリの体はそれを消化できるようにはできていないため、無理に与えると消化不良を起こし体調を崩す原因になります。
特にニホンヤモリは体が小さいため、ほんのわずかな毒素でも命に関わることがあり、安心して与えられるのはペット用に管理された餌用昆虫や人工フードだけと覚えておく必要があります。
加工食品や調味料が使われた食材はなおさら危険です。
塩分・添加物・香辛料はヤモリの消化器官に強い負荷をかけます。
チョコレートやカフェインを含む飲食物は中毒を引き起こす可能性があり、絶対に与えてはいけません。
ネギやニンニクといったユリ科の植物に含まれる硫化合物も有害ですし、若いジャガイモやトマトの葉にはソラニンという毒素が含まれています。
人間にとって普通の食材が、ニホンヤモリにとっては命取りになり得るのです。
動かないものは食べないという大きな壁
家の食材が消化面でNGなのはもちろんですが、そもそも食べてもらえないという問題もあります。
ニホンヤモリは獲物を狙って素早く捕まえる能力に長けており動くものに反応する習性があるため、動いていない餌には興味を示さない傾向が非常に強いという特徴があります。
皿の上に静止している食材は、ヤモリの目にはほとんど餌として映りません。
そのような性質はニホンヤモリが人工フードに餌付きにくいと言われる大きな理由でもあります。
他の昆虫食爬虫類と比べても活き餌を好む傾向が非常に強く、動かないエサに興味を示さないことは飼育者の間でもよく知られています。
カルシウム不足という見えないリスク
ニホンヤモリの健康と成長に欠かせないのが、タンパク質、カルシウム、ビタミンD3、そして適度な水分です。
タンパク質は筋肉や臓器の維持になり、カルシウムは骨格や卵殻形成に役立ち、ビタミンD3はカルシウム吸収を助け健康な骨を保つために欠かせません。
家にある食材ではこれらの栄養バランスを整えることはまずできません。
カルシウムが不足した状態が続くと骨が柔らかくなって体が変形するクル病を発症します。
UVBライトを使わない場合はビタミンD3入りのカルシウムサプリを必ず使用する必要があります。
生き餌を与える場合もリンとカルシウムの比率の問題があるため生き餌を与える際はカルシウム剤を添加してから与える必要があります。
人工フードへの餌付け方法
ニホンヤモリは人工フードを食べてくれないことも多いですが、コツをつかめば慣れてくれる個体もいます。
無理に切り替えず、ピンセットで小刻みに動かして興味を引く、匂いが強い練り餌を試す、夜間に置き餌として少量残しておく、といった方法を組み合わせると少しずつ人工餌に慣れていく個体が多いです。
人工フードのレオパドライの場合は半分に割ってふやかしたものをピンセットでつまんで与え、目の前で動かしてあげると高確率で食いつきます。
それでも食べてくれない場合は活コオロギをピンセットで与えて慣れさせましょう。
虫が苦手な方におすすめの人工フード3選
ニホンヤモリへの人工フードの餌付けは難易度が高めですが、実際に食べてくれる個体も存在します。
飼育者の間で支持されている製品を3つご紹介します。
ひとつ目は、キョーリンの「レオパゲル」です。
ミルワームなどの昆虫食性のあるトカゲやヤモリ全般に与えることができ、栄養バランスが良いだけでなくフンの色形がきれいになった、食いつきがよくなったという口コミも多い商品です。
容器から絞り出すだけですが、与える爬虫類の口に入りやすいよう小さくちぎって丸めてあげたほうが食べやすいです。
チューブタイプで保管もしやすく、実際にニホンヤモリが飛びつくほどの食いつきを見せることもある人気商品です。
楽天市場でも爬虫類フード部門で常に上位に入る定番品です。
ふたつ目は、同じくキョーリン(ヒカリ)の「レオパドライ」です。
水でふやかして竹串などにつけてヤモリの口元に持っていくと食べてくれます。
レオパゲルをベースにしたペレットタイプで、常温保存ができ扱いやすいのが特長です。
2匹分の餌代が月に50円弱で済むというコストパフォーマンスの高さも魅力で、長期飼育者にじわじわと支持が広がっています。
みっつ目は、エコロギーの「ヤモリバイト」です。
業界初のニホンヤモリ・トッケイヤモリ・ヒルヤモリなど昆虫を主に食べるヤモリ専用の練り餌フードで、特に野生から飼育を始めた個体でも食べやすい設計で活餌に頼らず給餌が可能になることを目指しています。
コオロギを新鮮な状態で急速冷凍・乾燥処理して栄養素を完全に保持しており、粉末を水で練るだけの簡単調理で常温保存可能で開封後も半年持ちます。
他の人工フードを受け付けなかった個体が食べたという報告も届いており、ニホンヤモリに特化した商品として注目を集めています。
いずれも個体によって食いつきに差があるため、まずは少量から試してみて、食べてくれるものを見つけていくのが現実的な方法と言えます。
どうしても人工フードに慣れてくれない場合は、生き餌との組み合わせを続けながら気長に慣らしていくことが大切です。